# 電話の向こう側

いつも通りの夜


いつも通りの夜



あの日、いつものように会社を出て、家に帰る途中だった。風が冷たくて肌が凍るような感覚があったけど、別に珍しくなかった。街灯の下には影が伸び、ネオンサインだけが人の暖かな光を求めているようだった。ただ、空気が少し重く感じられた気がした。いつもと違う何かを感じ取るように、私は意識的に深呼吸をした。

着信ナシの電話


着信ナシの電話



家に着くと、携帯にメールが入っていた。「留守番電話を消してください」。そのメールを見たとき、なんか妙に不気味なものを感じた。誰から? いつも通りに仕事で疲れて、眠気に襲われそうになるけれど、何か不安な気持ちが拭えないまま部屋へ入った。冷蔵庫を開けようとしたその時、携帯が鳴った。知らない番号だった。「もしかしたら…?」と期待感と恐怖が入り混じった気持ちで電話に出た。

しかし、相手の声は全く聞こえなかった。ただ、向こうから聞こえるノイズのような音が耳を刺すだけだった。まるで、電話の向こう側に何かが「話したい」と感じているようだと錯覚するほどだ。私は慌てて電話を切り捨てた。留守番電話を確認すると、もちろん何も記録されていなかった。

深夜のコンビニと開かない扉


深夜のコンビニと開かない扉



翌朝、その不気味な感覚は拭い去れなかった。「着信ナシの電話…。」 そればかりが頭の中をグルグル回っていた。昼過ぎには仕事で街に出る必要があったので、会社へ向かう途中、いつもの通り深夜営業をしているコンビニに立ち寄った。店内に入ると、いつもよりも静かで不気味な雰囲気が漂っていた。レジ前の店員さんは見当たらず、商品棚は薄暗く影が重なって見える。私は不安を感じながらも、必要なものを探すため店奥へと歩を進めた。そのとき、扉が固まったように開かないことに気づいた。強めにドアを引いてみたが、まるで何かがそれを押さえ込んでいるかのように頑として開きませんでした。

救いのない結末


救いのない結末



心拍数が上がり、息が苦しくなる。恐怖感に押しつぶされそうになりながらも、冷静さを保たなければと自分に言い聞かせた。私は扉の隙間から中をのぞき込んだ。しかし、その視界は暗闇に覆われており、何が見えることもなかった。そしてその時、聞こえた声。「…助けて…。」それはかすれた声で、まるで私の耳元でささやかれているようだった。恐怖と絶望が押し寄せ、私は叫び声をあげた。だが、返ってくるのは空虚な静けさだけだった。

それからというもの、私はそのコンビニの扉に閉じ込められたままだった。助けを求めて大声で叫ぶものの、誰も私の声には耳を傾けてくれなかった。深夜のコンビニはいつまでも私の監獄となり、恐怖と絶望だけが私の心の支配者になったのだ。