日常に潜む違和感

東京の喧騒の中、僕は一人暮らしを始めて二年になる。窓の外はいつも人で溢れかえる渋谷だが、僕の部屋では静かな日々を送っていた。ある日、いつものように仕事で疲れた体を休ませるために、Netflixで見始めたドラマにはまり込んでいた。その夜、降ってきた雨の音に気付く。それは普段とは違う深みと重みのある音だった。まるで巨大なものがゆっくりと動いているような、不気味な感覚を伴ったのだ。
雨音に関する異変

翌朝、雨は止んでいた。だが、街の静けさの中に残る独特の音だけが気になり始めた。どこからか聞こえる遠くからの雨音だ。しかし、それはまるで録音された音のように、反復的に繰り返されるばかりで、全く消えない。まるで雨が降っているわけではないのに、その不気味な音が僕の心身に突き刺さり続ける。
開かない扉とトンネルの恐怖

数日後、僕は家の近くを歩いていた時、いつも通りの風景の中に奇妙なものを見つけた。それは廃墟のように朽ち果てた古い建物の前で、黒く漆喰が剥がれ落ちている壁の隙間から聞こえる雨音だった。その音はさっき聞いたものと全く同じだ。恐怖に押しつぶされそうな気持ちで視線を上げる。そこには巨大な鉄製扉があり、錆びついた金具が見え隠れしているだけだった。その扉に近づき、手で触ってみると、固く冷たかった。そして、扉の隣にはまるで迷宮のように奥へと続くトンネルの入り口があった。
救いのない結末

僕は恐怖から逃れるように足を引きずりながら家に戻った。雨音だけが聞こえる部屋で、震え上がる自分の体を抑えるのに必死だった。次の日、再びあの建物の前を通ると、鉄製扉は開いていた。そして、トンネルの入り口には真っ白な光が溢れていた。恐怖に打ち勝って一歩踏み入った瞬間、僕の視界は暗闇に呑み込まれていく。耳に届くのは、ずっと繰り返されてきた雨音だけだった。
「あの雨音が…俺を吸い込んでいく…」