# 鏡のような水面

薄暗い教室に、机と椅子がぎゅうぎゅう詰めで並んでいる。私は窓際の席に座り、授業のプリントを眺めながらため息をついた。何かがおかしいと感じていたんだ。このクラスはいつも満員なのに、今日はなぜか誰もいない。教室全体が異様に静かで、耳障りな沈黙だけが響いていた。あの頃の賑やかな雰囲気が嘘のように感じられた。私は少し不安を抱きつつも、プリントに集中しようと努めた。

冷気が伝わってくる机の表面を触れた時、体に何かがこびり付いたような感覚があった。嫌な匂い、腐った木のような臭いが鼻腔をくすぐる。教室全体の湿った空気は重い。窓を開けて少し風を入れると、冷たい風が頬をつき、「誰」かが息をしたような、かすかな音が聞こえた気がする。

記憶の断片が頭の中をよぎる。古いエレベーターに乗って…あの暗い廊下で…声が聞こえてくる…。でも、どこからか響くその声は、私の知っているものと全く違う。どこか遠い過去、知らない場所での記憶のように鮮明に浮かび上がってくる。私は恐怖を感じながら、自分の記憶を探ろうとしたが、頭の中は混沌としていて何も思い出せなかった。

「誰もいない教室」の中で、エレベーターの音だけが響く。扉が開き、漆黒の空間が広がる。私を包み込む冷たい空気は、息苦しさに満ちている。鏡のような水面を見つめると、自分自身ではなく別の顔を見つめる自分がいた。それは私の顔だったはずだが、どこか歪んで見え、目を背けたくなるほど怖かった。私は恐怖で震えながらエレベーターに乗り込んだが、扉が閉まる度に自分の心拍音が大きく轟くように聞こえた。

そして次の瞬間、光のない無空間へと飲み込まれていった。